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預金の事件簿

<窓口一寸詐欺>

過去「窓口一寸詐欺」という事件がありました。概要はこうです。Aさんがとある銀行Bの窓口に行き、現金と小切手を差し出し預金をしたい旨を申し出ました。この時B銀行の窓口係のCは伝票を作成中であって、Aさんの申し出に対し頷き「分りました」と言いました。しかしその現金には手を付けずに伝票の作成を続行しました。

Aさんはそのままその窓口に立って待っていましたが、そこにこの事件の犯人の共犯者Dが現れAさんの後ろから踵を踏んだりしてAさんの注意を引きました。Aさんはその共犯者Dの方を振り向きDと言い争いを始めます。その隙に事件の主犯格が現れ窓口に置いてあった現金を盗みそのまま逃げ去って行ったのです。

被害にあったAさんは「お金を窓口に置いて預金をしたいと言った時、窓口行員のCは承諾の返事をした。だから私はB銀行に既に預金をした事になる。お金を盗まれたのは銀行の責任なので預けたお金を返して欲しい」と銀行に預金の返還を請求しました。

これに対して銀行側は、「窓口係はただ頷いただけで、実際のお金には手を付けていない。従ってそのお金は未だ銀行が預かったものではない」として預金の成立を否定しました。
Aさんは裁判所に訴え訴訟を起こしました。これが少し古い話しですが「窓口一寸詐欺」と呼ばれるものです。

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<預金契約の成立>

結論から言って当時の最高裁の判決は「銀行に返還責任は無い」としました。
預金契約の成立は「預金したい=分りました」という、預金者と銀行の当事者間の意思表示のみで成立するものではなく、実際に金銭の授受があって初めて成立するものであるとの判断したのです。

Aさんの主張つまり諾成契約は却下され、預金契約は銀行の主張する要物契約としたのです。この要物契約とは、当事者間の意思表示とは別に目的物の引渡が必要とされる契約です。因みに、銀行からお金を借りる時の契約も要物契約です。
契約締結と同時に現金の受け渡しがあって初めて金銭消費貸借契約は成立します。

<お金の授受は最後までしっかりと>

この裁判の焦点は預金契約が要物契約で成立すると判断した重要な判例です。銀行が煩雑な時間帯に、事務の人がお金を入金しに窓口で並んで待っているケースは良くあります。

その時お金を入れた「カルトン」と呼ばれるのもが、銀行の窓口に積み上げられている状態も良く目にします。この「カルトン」に入れて積み上げられた現金は未だ窓口の係はお金の勘定を済ませていません。

つまり「未処理」の状態で、実際にこれからお金を数えて処理するので、現金が多かったり少なかったりすると、又伝票を書きなおしてもらい処理し直します。未だお金の授受が済んでいない非常に危険な状態と言える訳です。滅多に詐欺は起こるものではないでしょうが、先の判例を念頭に現金の授受は銀行員が受取る最後まできちんと確認すべきでしょう。

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