赤いカードが大変身
百貨店のマルイが昔、自社店舗でしか使うことができないクレジットカードを発行していました。カードの色が赤かったため「赤いカード」と呼ばれていました。
その当時に百貨店で現金以外の方法で決済できたのは、外商担当がいる顧客とその頃普及が始まったクレジットカードの利用者だけでしたから、画期的な手法でした。
特にクレジットカードを発行してもらえる顧客は富裕層レベルに限定されており、普通の人は現金決済が当たり前でした。
もっとも、マルイは
もともと百貨店で最初に割賦販売の方法を始めた店舗でもあり、信用販売については他の店舗に先駆けていました。
そのため、当時としては先進的なこの販売方法を思い切って採用できたのです。
おかげでマルイには給与の安い若い人が買い物に来るようになり、単に売上アップに貢献しただけではなく、店自体のイメージアップにもなりました。現在は他の百貨店に埋もれがちですが、その当時のマルイはトレンド最前線を走る若者のあこがれの的だったのです。
しかし、最近はショッピングセンターやスーパーのハウスカードでも国際ブランドのビザやマスターのブランドを付けており、日本国内だけではなく海外でも利用可能になっています。マルイも従前通りの手法ではカード会員拡大ができなくなってきました。そこで、マルイも他のハウスカード同様にビザやマスターのブランドを付けた国際カードを発行することとなったのです。
ただ、従前の赤いカードの愛用者も多かったこともあり、
急に方向転換するわけにもいかないため、エポスカードという新しいブランド名を作りカード事業をすべてこのカードに移転しました。
最初は従前の赤いカード同様のマルイでしか使えないものの、審査が柔軟なカードも並行して発行していましたが、現在では新規発行はしていません。さすがに他の店舗のハウスカードと比べて分が悪いと判断したのです。
こうして、現在のエポスカードがあるのです。しかし昔の赤いカードほどのインパクトは望めず、マルイのハウスカードとしての位置づけに過ぎなくなってしまいました。